2016年、プロ野球において歴史的なルールが採用されました。コリジョンルール(collision rule)、すなわち衝突ルールです。超カンタンに説明すると、クロスプレー禁止ルールです。キャッチャー出身の私としては大変興味深いルールですので少し考えてみることにしました。
今のところソフトボールにおいてコリジョンルールは適用されていないようです。しかし、ルールの意義が安全のためなので、近年の安全安心ブームの流れからすると、将来ソフトボールにおいてもコリジョンルールが適用される日が来ると思われます。そんな日に備えて今のうちから準備をしておきましょう。今回はそのお話をしてみます。詳しいルールの内容は参考をご覧くださいね。
参考
そもそもコリジョンルールってなに?
まずは映像を見てみましょう。百聞は一見に如かずですね。
[su_youtube url=”https://www.youtube.com/watch?v=5V584Aq-YdA”]
おおまかに説明するとコリジョンルールとは
走者が捕手に強引に体当たりをすることを禁じる
捕手のブロックと走者の走路を妨害することを禁じる
送球がそれるなど、やむを得ない事情で捕手が走路内に入る時も、なるべく激しい接触を控えること
というものです。
本ルールはキャッチャーにとって極めてきびしいように思われます。今までプレーしてきた人にとって、体ごとタッチするというのは当たり前のようにしてきたのですから。特に今回のようなボールを落として焦っているような場合なんか、いくら練習してきてもムリなんじゃないかとすら思えます。
もう一つ映像を見てみましょう。14分と少し長いですが大変分かりやすいです。
[su_youtube url=”https://www.youtube.com/watch?v=BW-1VlaNv88″]
12:00あたりのメジャーと日本野球の図が大変分かりやすいですね。左のメジャーはコリジョンルールが採用されているので、ホームベースよりかなり前にキャッチャーがいます。ここにいるとどうなるか?続いてタッチプレーがありますが、完全な追いタッチになっていますね。従来アウトを取れていたものが、セーフになるケースが多くなりそうです。
正しいコリジョンルールでの守り方
映像の通り、ベースの前に立ち、追いタッチをするしかないのですが、少しルールを深読みして抜け道を探してみましょう。私たちキャッチャーは新ルールに従って守らなければならないのですから。
ブロックの解釈
捕手がボールを持たずに得点しようとしている走者の走路をブロックすることはできない
走者がスライディングすることで捕手との接触を避けられたならば、ボールを持たない捕手が本項に違反したとはみなされない。
とあります。
言葉通りに解釈するなら、今までの守備と何が違うのだろう?と思ってしまいます。通常、キャッチャーがクロスプレーになるときは下図のような位置に立っています。
ボールをキャッチしたら、膝を落としてホームをブロック、こりゃセーフだなと思ったらバッターランナーの進塁を止めるためにホームを離れ、送球に備えます。このホームをまたぐ立ち位置がブロックと解釈されていることに疑問をぬぐいきれません。
走路の解釈A
そもそも塁上は走路にあたらないと解釈されているようです。本ルールは、走路をブロックできない、なので、走路ではないホームベースはブロックしてもよいと解釈することもできます。つまりホームベースの真上に立てばよいわけです。
走路の解釈B
この走路を図のように解釈するならば、やはりベース前に立つしかないのでしょうが、もっとシビアに丸の位置辺りに立つのもアリかもしれません。野手の送球が何キロ出ているかわかりませんが、確実にタッチより速いのです。つまりできるだけ距離を送球で稼ぐのが得なわけです。この位置だと追いタッチの距離も短くなりそうです。
と、ここまで言っておいてなんですが、現実的にはメジャーのような守りになるようなので、おとなしく従うしかないのでしょうね。
個人的には伊集院光さんの言うようなキャッチャー防具の進化がステキだと思います。
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