走塁技術を向上させる31のポイント~走塁セルフ・エフィカシー~

青いイナズマ

走塁…ソフトボールにおける三本柱のひとつなのですが、いざ、チビッコに『走塁ってなに?』って聞かれたら、監督・コーチの皆さんは『あ~、う~、まぁ、いわゆる、なんというか、その、一塁まで全力で走ることじゃないかな?』なんてお茶を濁しかねないくらい具体的なところ、体系的なところは知らないのではないでしょうか?(…私は知りません♪)

しかしご安心を!今回は走塁技術を確実に向上させる31のポイントをまとめた論文についてお話しようと思います。

参考

走塁・セルフ・エフィカシー尺度の開発およびその有用性の検討 

木内 敦詞 荒井 弘和




論文の内容について

かいつまんで話すと以下のとおり

1、調査期間は一年、大学硬式野球2部リーグAクラスの某チームの選手を対象とした

2、選手は一日一回、31項目の走塁技術チェック表を確認した

3、一年後、走塁失策数が半減した

※論文の内容をものすごくかいつまんで編集

というものです。走塁の失敗が半分になるなんてすごいですね!本論文は野球を対象としていますが、ソフトボールにも有用なものと思われます。ぜひともこの31の走塁技術をマスターしたいものです。

31の走塁技術をチェックしよう

ちょっと長くなりますが、チェックポイントは以下のとおりです。

ネクストバッターサークルにおいて

1、相手野手の本塁返球のコースに応じて、本塁へ突人する走者に適切なスライディングの方向をジェスチャーで指示できる

2、本塁突入の妨げになる位置に打者の手放したバットや相手捕手のマスクが放置された場合、瞬時にそれを処理できる

打者走者時において

3、自分の打球を目で追わず、かつ、どんな打球であってもアウトが確定するまでは、一塁へ全力疾走できる

4、ゴロを打球後、一塁ランナーコーチの指示に応じて、駆け抜け・オーバーランの切り替えができる

5、内野ゴロの一塁悪送球の際、ボールの所在を素早く確認後、一塁へ帰塁・二塁への突進のいずれかを判断できる

6、外野への安打を放った後、外野手のファンブルや内野手への緩慢な返球等の一瞬の隙をついて二塁へ突進するために十分なオーバーラン(レフト・センターでは塁間の1/3程度、ライトでは1/6程度)ができる

打者走者を含む全走者において

7、背後にボールがある場合以外はすべて、自己の判断に基づいて進塁・帰塁ができる

一・二・三塁走者共通として

8、塁上で、ベンチからのサインを見ることができる

9、離塁の前に、野手の守備位置を確認できる

10、アウト数・投球カウントを常に把握できる

11、ボールの所在を確認後に離塁することができる

12、投手がセットポジションに入る際、ベースへ視線を向けることなく、投手を見たままの状態で第一リードをとることができる

13、投手の投球を目で追うことなく、打者の打球動作をインパクトの前から注視しながら第ニリードをとることができる

14、打者の打球(捕手の捕球)直後に、第ニリードのギャロップ(サイドステップ)二歩目の着地を行うことができる

15、無死・一死の場面で、ライナー性の打球に素早く反応して帰塁体勢になることができる

16、暴投や捕逸に素早く反応して、先の塁へのスタートが切れる

17、相手野手の送球能力に基づいた進塁・帰塁の判断ができる

18、相手チームのあらゆるピックオフプレイ・トリックプレイを想定した走塁ができる

19、二死での飛球はアウトが確定するまで全力疾走できる

一塁走者時において

20、ヒットエンドランや盗塁の際、打者の打撃行為を左肩越しに見ることができる

二塁走者時において

21、投手の逆ターン牽制を想定した第ニリードができる

22、無死/一死・二塁の場面で、バントの打球と相手野手の位置関係に素早く反応して、三塁へのスタートを切るか留まるかの判断ができる

23、無死/一死・二塁の場面で、第ニリードをとった自分の体より左側へのゴロ(ピッチャーゴロを除く)に素早く反応して、三塁ヘスタートを切ることができる

24、無死/一死・二塁の場面で、三遊間のゴロが外野へ抜けることを確認後に三塁ヘスタートすることができる

25、無死/一死・二塁の場面で、三塁手が三塁ベースを離れて捕球するような高いバウンドのゴロに素早く反応して、三塁ヘスタートを切ることができる

26、無死/一死・二塁の場面で、三塁手前へのボテボテのゴロに素早く反応して、三塁ヘスタートを切ることができる

27、無死/一死・二三塁の場面における内野ゴロの際、前位の三塁走者の本塁方向へのスタートを確認後に三塁ヘスタートを切ることができる

28、二死の場面では、二三塁を結ぶ線よりも2~3m後方で第一リードをとることができる

三塁走者時において

29、ファウルエリアで第一・第ニリードをとることができる

30、犠牲スクイズの際、投手の自由足が着地する直前にスタートを切ることができる

31、セーフティスクイズの打球に素早く反応して、本塁突入が留まるかを判断できる

※意味・内容を変えない程度に論文を編集

長くなりましたが、以上です。

31の走塁技術について自己採点してみよう

本論文において、この31の項目をプレイヤー自身で自己採点しています。内容は以下のとおり。

1、試合中の具体的な31の状況で、自分は正しい走塁行動ができるのか自分で採点する

2、採点は100点満点中何点か、でする。目安としては0点…まったくできない、25点…おそらくできない、50点…もしかしたらできる、75点…おそらくできる、100点…絶対にできる、とする。

※論文においては点ではなく%

もっとも簡単な技術ともっとも難しい技術について

自己採点において、もっとも高得点だったのが、設問8の『塁上で、ベンチからのサインを見ることができる』で94.2点でした。みなさんもできていますか?

そして、もっとも低得点だったのが、設問14の『打者の打球(捕手の捕球)直後に、第ニリードのギャロップ(サイドステップ)二歩目の着地を行うことができる』で57.1点でした。個人的には設問自体が難しく、何を聞かれているのかよくわかりませんでした。

次の低得点、57.9点の設問22は痛いほどわかるのですが…『無死/一死・二塁の場面で、バントの打球と相手野手の位置関係に素早く反応して、三塁へのスタートを切るか留まるかの判断ができる』これは超むずかしい。

なぜ走塁の失敗が減ったのか

これは選手の自由記入のアンケートに答えがあるように思われます。

・試合および練習場面で、走塁に対する意識が高まった

・できると思っていても、やってみるとできていないことが多くあった

・忘れていた走塁行動を思い出し、基本に戻れた

大学野球レベルの上級者でも、忘れていたり、実はできていなかったりしているようです。まして私たちはより気をつける必要がありそうです。

本論文はインターネットから見れますし、ダウンロードもできます。走塁技術について、とても有用で面白い内容ですので、興味のある方はぜひ見てみてください。そして、一日一回の31の走塁技術のチェックもお忘れなく♪







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする