前回の続き
走力は当然、足から身体へとつながる。
膝はその中継点。ここを狙うことで、身体操作の正確さとスピードを削ろうとしたのだ。
99「んっ!!!!!」
左に軌道修正したものの、接地の時間が十分に取れず、スピードはのっていなかった。
ひとまず『遠距離戦』は終了した。
これから『接近戦』だ。
キャッチャーの腕が届く範囲を『接近戦』といった。
そして、『接近戦』用の技術も進化していた。
『薙(ナギ)』遠くから直線的なタッチをする『突』とは逆に、近距離で円形の範囲にタッチする技術が『薙』だ。
要するに、腕をぶん回すだけなのだが、そのスピードと範囲は尋常ではない。
このキャッチャーは、範囲150°と、それほど広いものではないが、スピードは超一級だった。
キャッチャー「まさか俺に『突』と『薙』の両方を使わせるとはな。ちょっとルーキーだと甘くみていたか…」
『薙』に対するランナーの選択肢は二つ。
回り込むか、避けるか、だ。