練習メニューにキャッチボールがないチームはまずないと思う。最も基本にして野球の奥義といっても過言ではないキャッチボールだが、実のところ痛くならないよう肩を温めて、そのうち遠くまで速く投げられたらいいかなあ、くらいの意識でやってはいないだろうか?今日はキャッチボールのメニューのひとつ、真下投げについてお話しようと思う。
真下投げとは
まず、いつもの通り映像を見てみよう。
[su_youtube url=”https://www.youtube.com/watch?v=Snh4sHCnPdk”]
見ての通り真下にボールを投げる運動だが、なんと効果があるようだ。『肩の痛みが楽になった』『球が速くなった』と選手の話があり、その根拠として伊藤博一先生は真下投げのフォームは身体にストレス(負担)が少なく、真下投げをすることでストレスの少ないフォームを身につけることができる(よって肩の痛みが楽になったり、球が速くなったりする)と述べている。
ウォームアップに良し、リハビリに良しの真下投げであるが、なんと投球のスピードアップにも効果があるようだ。鹿屋体育大学の先生方が実験を行った。結果は以下の通り。
1、競技歴の浅い女子軟式野球選手を対象に真下投げトレーニングを実施し、投球時のボール初速度への即時的効果を明らかにすることを目的とした
2、(実施の結果)ボール初速度が有意に増大した
3、競技歴の浅い初心者に対する真下投げトレーニングの実施は、ボール初速度の増大に即時的効果をもたらすことが明らかとなった
『女子軟式野球選手の投動作における真下投げの即時的効果』
本嶋佐恵 藤田英二
※スピードアップに関するところを抜粋
つまりは真下投げするとボールが速くなるとの結論を得たようだ。
投げ方というのは、意外に我流なもので教えてもらってもその通りになることは少ないと思う。真下投げは見た感じ簡単で手間も少なそうなので、もし漫然とキャッチボールをしているのであれば、練習メニューのひとつとして加えてみてはいかがだろうか。
蛇足
映像に出てきたE・B・B(Evidence-Based Baseball Coaching スポーツ医科学的根拠に基づく野球指導)という言葉は初めて聞いたのだが、これからの時代より大切な概念になると思う。指導者が身につけておくのはもちろんのこと、選手も知識として、そういうのがあるというのは知っておいて損はないだろう。
参考
本嶋佐恵 藤田英二