ホームランは常に正しいのか?

ホームランの打ちそこないがヒットなのか、ヒットの大当たりがホームランなのか。どちらなのかいまだに分からないまま打席に立っています。

ただ、「今はホームラン以外はいらない」と監督に指示されたら、スイングの種類が変わるのは明らかです。具来的には、球を浮かせようとアッパー気味、球種をしぼって前打ち(腕が伸びきったパワーのあるる状態、読みが外れたときの対応は×)になります。

分からないとはいったものの、ヒットの延長ホームラン思考のバッターであるようです。さて、今回はホームランは常に正しいのか?というテーマでお話しましょう。

参考資料

「大人のための読書の全技術」齋藤孝 中経出版

読書ノート「メジャーリーグの数理科学上下」




長嶋さん視点のホームランと三塁打

長嶋茂雄さんの言葉に「ホームランと三塁打ならば、三塁打のほうがいい」というのがあるようです。理由は「守備の人間が全員動いて、三塁に間に合うか全員が興奮するから」というものです。ファンを大切にする長嶋さんらしい言葉です。

僕が思うのは、三塁打って色んな戦術がからんでくるから後がしんどいよねということです。結果からしたら、もしや三塁打のほうが大きく得点される恐れがあるんじゃないか?と思ってしまいます。

『メジャーリーグの数理科学上下』という本に、そこらへんのデータがあるようです。参照してみましょう。

打者を評価するための方法

ひとつはその打者がどのくらい得点に貢献できるかをそれぞれの結果(ヒットとかホームランとか)に対しての重みを相加的に考えて回帰分析するもの。これだと大体ヒットに対して四死球は0.6,二塁打が1.4,三塁打が2.4,ホームランが3ぐらいの重みになる。単純モデルとしては出塁率と長打率を加えたものに近い。

読書ノート「メジャーリーグの数理科学上下」

数字になっていると比較しやすいですね。これによると、三塁打の価値はホームランの0.75倍。三塁打の方が得点には貢献しないのですね。もう一つ面白いのは四死球の価値。ずっとヒットと同じくらい、もしくはそれ以上と思っていましたが、実際は半分くらいの価値のようです。思い込み、おそろしい。

では、なぜこんな思い込みをしていたのか気になるところです。もうちょっとよく考えてみましょう。

上記データの条件に「その打者が」というのがあります。「次の打者が」でも「その回に」でも「その試合に」でもありません。「その打者だけ」なのですから、当然自分もホームインできるホームランが一番価値が高いのも当たり前のことなのですね(四死球では得点になるのが押し出しだけなので価値が低いのかな)。

では、この思い込みのモヤモヤはどうしたらいいのか。実はもう一つの評価法があるようです。参照してみましょう。

もうひとつの方式は同じ打者のクローンが攻撃したら何点取れるかを考えるモデルで条件付確率を加えていって期待値を出すモデル。細かいモデルはなかなか複雑だが結局まず何人走者を出して最後にどう返すかという形に帰着する。これは出塁率に長打率を乗じる単純モデルにつながる。

読書ノート「メジャーリーグの数理科学上下」

なかなか難しいですが、こちらの方はもっと含みがあるように感じられます。もしかしたらこちらがモヤモヤを解決してくれるのかもしれません。

データというものは多少勉強を必要としますし、いざ実戦で役立てるのも難しいかもしれませんが、考える訓練としては面白いものです。

さて、ホームランが常に正しいのか?三塁打の方が多く得点されるんじゃないかと考えてきましたが、実際のプレーではホームランはともかくとして、三塁打はランニングホームランにならないように、もしくは二塁打で止めるように必死こいているものです。考えることとプレーすることはまったく違うのですが、これもまた野球の楽しみということで。

関係しそうな話

初球の入り方について 確実に打者を抑えるファーストストライクの重要性

ホームランを打つ練習について ホームランの打ち方







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする